イベントのお知らせ「村人は春を待っている 冬の花の声を聞きながら。」

来月、地元で1日限定の個展とアーティストトークを開催していただきます。
(ホヅプロと「蜜の木」も初遭遇。)


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岩名泰岳「村人は春を待っている 冬の花の声を聞きながら。」

日時 2014年2月16日(日)12:00-15:00
会場 穂積製材所内「ものづくり工房」
〒519-1711 三重県伊賀市島ヶ原5844
(JR島ヶ原駅前すぐ)

主催 島ヶ原地域まちづくり協議会 文教人権部会
協力 島ヶ原村民芸術「蜜の木」
   穂積製材所プロジェクト

予約不要・入場無料


問い合わせ 090-7868-6223(担当)
      0595-59-2584(島ヶ原地域まちづくり協議会)


〈プログラム〉
12:00-開場、展示鑑賞
13:00-アーティストトーク
14:00-交流会
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# by yasutakeiwana | 2014-02-16 15:00 | 展覧会・イベント

「もうすぐお祭りもあるしね、山から春も来るわ」

この絵、この花みてごらん、
わしらは墓場からやって来た。

アルチュール・ランボー『渇きの喜劇』
(堀口大學訳)




木の実は暗い夜空へ落ちてゆく。
あぜ道を行く農夫の涙も冷たい水辺に落ちてゆく。
名前を与えられなかった花や魚は春まで生きられない。

閉まったままの村の資料館。
壁に貼られた集落の歴史は10年前で止まっている。
誰かに寄贈された緑の軍服のコートが点々と虫に喰われていた。



「私たちはこのまま転げ落ちてゆくだけなのかしら?」

「だってあなたはずっとここにいるだけ」
「あなたは何もしていない」

「悪いのはすべて私?だって何もすることがないじゃない」
「ここには何もないのよ。遠くの街の人たちは、誰も私たちのことを知らないわ」

「あなたの場所には、あなたの場所の美しさがある」
「小さな魚の鱗も白い花びらも、暗い夜星の下で光っている」



「もうすぐお祭りもあるしね、山から春も来るわ」





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「蜜ノ木」
2013年、油彩、キャンバス
45×38cm
個人蔵
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# by yasutakeiwana | 2014-01-21 17:08 | 絵画・詩

心ガ村ニ帰ル(村に帰って来た成人式)

平成26年島ヶ原地区成人式
2014年1月12日(日)
島ヶ原会館


今年から成人式が村に帰ってきた。
僕が成人を迎えたときは市町村合併の後だったので、街の文化会館で成人式が開催された。
形式だけの式典、暴れることでしか輝けない同世代の若者たち、来賓の政治家の「夢を持て」という無責任な言葉しか記憶にない。

今年は約10年ぶりに村の公民館で成人式が開催されて、式典の後半は地元の実行委員会で企画できるというもの。新成人たちへの祝辞と、「蜜の木」ではチラシと舞台デザイン、プログラム構成、企画の一部を担当することになった。

(成人式会場が分散したことに対しては様々な意見があるようだ。「高校の友達と会えない」「地域と新成人との結びつきが強くなる」「企画が大変」「盛り上がりに欠ける」)


僕の住む島ヶ原地区は伊賀市の中でも新成人の人数が1番少ない19人。
派手なことはできないが深みのある式典をすることが僕の願いだった。
島ヶ原の風土をモチーフにした絵を描いて「蜜の木」の若者たちと横5mの舞台看板を制作した。
村の伝統芸能や土着信仰のアイコンを舞台に配置する(獅子頭、鬼頭、、)
カナダに留学している新成人の子がいると聞いて、スカイプ中継をみんなで企画した。

この若者たちのアイディアは、村の保守的な有力者との見えない攻防でもあった。
これまでの村の若者たちは何もできず、長老たちに従い地元に残るか、街に出て家庭を築くしかなかった。今は少し違うのだ。土地の若者の繋がりもできはじめ、大人の人たちの理解も少し増えた。


ローカルな神話とコンテンポラリーアートとグローバルネットワークを繋ぐ小さな集落の成人式に僕もドキドキした。今の時代を生きる上で「ローカル」と「グローバル」を同時に考えることは新しい。

式典で新成人のみんなに5分ほど話をした。
・僕たちは「3.11」後の、崩壊した日本に生きていること。
・僕は故郷の市町村合併でなくなってしまった村で新しい時代を作ろうと思ったこと。
・新しい時代を作るのは、都会に住む一部の才能やお金を持った特別な人たちだけではないということ。
・今ある社会の常識や古い価値観を壊して、大人たちに与えられた「価値」だけではなくて、あなたたちの新しい「価値」を自分たちの力で見つけてほしいということ。


テレビタレントのビデオメッセージやゆるキャラのダンスはなかったけど、違う世界がそこにあった。どんな小さな場所にも希望や美しさはある。村に帰ってきた成人式に関わった僕たちがそれを感じていた。


新成人のみんなは何を感じた?
つまらないことに流されるな、あなたの場所にはあなたの場所の良さがある。







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島ヶ原地区成人式のチラシ。挿絵:岩名泰岳 デザイン:島ヶ原村民芸術「蜜の木」



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成人式の舞台看板を制作する「蜜の木」の若者たち。



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朝日新聞(伊賀版)2014年1月10日





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新成人へのメッセージ。

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峰貴大君による新成人の誓い。

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カナダとスカイプ中継。

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今回の成人式に関わってくれた「蜜の木」メンバーたちと。
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# by yasutakeiwana | 2014-01-13 19:42 | 日記

サヨナラ2013年

サヨナラ2013年。

昨年地元に帰国してから少しずつ準備を進めていたことが、
村外れのアトリエでの制作や、地元の若者たちとの芸術運動「蜜の木」が動き始めた1年でした。

ベルリンでもニューヨークでも上海でも東京でもない場所で、新しい芸術は可能なのか、退屈な地域社会そのものを創造力で変化させていくことができるのか、失敗もたくさんありましたが、村の境界やジャンルを越えてたくさんの人たちとの繋がりができたことは大きな価値でした。各地での展覧会や、地元での活動にご支援、応援いただいた皆様に心から感謝いたします。本当にありがとうございました。

来年はより一層精進いたします。
2014年もどうぞよろしくお願いいたします。


2013.12.31 岩名泰岳




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# by yasutakeiwana | 2013-12-31 12:14 | 日記

蜜の木のメモ 2013年11月

冬枯れが日に日に強くなっていた。
シャッターの閉まった駅舎から汽車に乗る。
汽車は進みはじめて少ししてから大きな汽笛を鳴らして止まった。
人をひきかけたのだ。
旧道から山に向かう野道が踏切もなく交差している。
車内では「妨害だ。謝れ。」と街の方からやって来た観光客たちが怒鳴っている。
小さな人影は背中を丸めて紅い森の方に消えるのだった。


「若者たちが村に活気を取り戻して幸せ」とはならない。
衰退していくか世俗化していくだけの地方に残された若者たちの青白い瞳。
「彼らが村を変えてくれるかも」という集落の小さな希望になりかけていた若者たちの心が折れて消えていくことが、逆に最も深い村の絶望になってゆく。
すべての者が管理されていて、本当に大切なものすら与えられている。


それでも私たちは正義を貫くことができるか。





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# by yasutakeiwana | 2013-11-28 18:41 | 絵画・詩

展示のお知らせ

アートアドバイザー奥村くみさんと積水ハウスのコラボレーション企画にて新作の油彩作品を展示していただきます。

会期中には奥村さんによるトークイベントも開催されます。
会場 積水ハウスモデルハウス「ビーサイエ」(ABCハウジング千里住宅公園内)
展示期間/11月28日(木)~12月26日(木)営業時間/10:00~18:00 定休日/火・水曜



http://allierstyle.blog.fc2.com/blog-entry-152.html

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# by yasutakeiwana | 2013-11-26 13:54 | 展覧会・イベント

鹿と野ばら

山鳥は木の枝を渡る
重力を失った枝が跳ねて
乾いた葉がカラカラと音を立てた

猟師に追われた鹿の血が
峠の大池の深い緑を紅く染めた

(農夫たちは、その水際が夕日に染まっているのだと思った)

月日は荒れた草地に彼(鹿)の
白い骨だけを点々と残していた
夏には赤い野ばらの花が咲いて
もう村人が通ることのない山道を覆った




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# by yasutakeiwana | 2013-11-20 11:36 | 絵画・詩

春には会うことができない人たち

木の実は空へ落ちてゆく
谷の方から死にも似た臭いが流れ込んで
観音山には田の火が共鳴する

子鹿の血が木葉の鏡になって
地蔵の後ろの白い花びらが星夜に反射した
祖先たちの顔が森の水辺にゆれている

多くの虫たちは春を迎えることができない
アトリエは森に通じていて温かい
出会うことのない春を待つ虫たちが眠っている




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「田ノ花」
2013 Oil on canvas
41×31cm
個人蔵
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# by yasutakeiwana | 2013-11-09 18:52 | 絵画・詩

個展「田ノ獣/森ノ花」終了いたしました。

ギャラリーあしやシューレにて開催された個展「田ノ獣/森ノ花」を盛況のうちに終えることができました。

お越しいただいた皆様、応援いただいた皆様、本当にありがとうございました。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。


2013年11月

岩名泰岳


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# by yasutakeiwana | 2013-11-07 15:27 | 展覧会・イベント

芦屋巡礼

10月12日から兵庫県芦屋市のギャラリーあしやシューレにて個展「田ノ獣/森ノ花」がはじまった。


芦屋市は戦後の前衛芸術家集団、具体美術協会(1954-1972)の活動拠点となった街だった。
吉原製油社長で二科会所属の洋画家だった吉原治良(1905-1972)は自らに師事する関西の若手作家たちと共に、1954年に具体美術協会を結成する。機関誌「具体」による情報発信を行いながら、翌1955年に芦屋公園にて「真夏の太陽にいどむモダンアート野外実験展」を開催する。


1972年、吉原治良の死により「具体」解散

2011年、元永定正 逝去。
(1922年三重県伊賀上野生まれ。戦後、画家を目指して神戸に移住。芦屋市展に出品した作品が吉原の目に止まり、1955年「具体」のメンバーとなった。)

2013年、浮田要三 逝去。
(1924年大阪生まれ。1948年に創刊された児童誌「きりん」の編集に従事しながら「具体」に参加し、自らも創作活動を行った。)



2013年10月19日(土)
ギャラリーあしやシューレにてギャラリートーク「具体から蜜の木」が開催された。
ゲストは山本淳夫氏(横尾忠則現代美術館 学芸課長)
山本氏は芦屋市立美術博物館で長年「具体」の研究をされてきたキュレーターのひとり。

同日から芦屋市立美術博物館では1952年に設立された「具体」の前身とも言える研究会「現代美術懇談会(ゲンビ)」にスポットを当てた「ゲンビ展」がはじまり、同市のアートスペース高瀬舟では元具体メンバーによるグループ展も開催されている。


この時期の芦屋は「具体」の過去と現在、未来が交錯しているようだった。
近年の海外での「具体」の猛烈な再評価とは対照的に街はとても静かだった。
これは、戦後の関西に勃興したひとつの“ローカルな”芸術運動を巡る小さな旅である。

時代の熱が冷めた、日曜日の芦屋公園には近所の子供たちが遊んでいる。



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ギャラリーあしやシューレにて開催された「具体から蜜の木」(右)山本淳夫氏(左)岩名泰岳

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現在「ゲンビ展」が開催されている芦屋市立美術博物館。

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1955年に「具体野外展」の舞台となった芦屋公園。




◯ゲンビ New era for creations 現代美術懇談会の軌跡 1952-1957
2013.10.19-11.24
芦屋市立美術博物館
http://ashiya-museum.jp/

◯布による表現 元『具体』メンバーの現在(いま)
2013.10.18-11.17
アートスペース高瀬舟
http://www.takasebune.com/exhibition/201310b.html

◯岩名泰岳展「田ノ獣/森ノ花」
2013.10.12-11.4
ギャラリーあしやシューレ
http://ashiyaschule.com/



〈参考〉

「さよならもーやん」
2011年10月18日のブログ
http://superiwana.exblog.jp/14778092/

「浮田要三さんの芸術」
2013年8月4日のブログ
http://superiwana.exblog.jp/19406079/
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# by yasutakeiwana | 2013-10-28 18:21 | 展覧会・イベント