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「もうすぐお祭りもあるしね、山から春も来るわ」

この絵、この花みてごらん、
わしらは墓場からやって来た。

アルチュール・ランボー『渇きの喜劇』
(堀口大學訳)




木の実は暗い夜空へ落ちてゆく。
あぜ道を行く農夫の涙も冷たい水辺に落ちてゆく。
名前を与えられなかった花や魚は春まで生きられない。

閉まったままの村の資料館。
壁に貼られた集落の歴史は10年前で止まっている。
誰かに寄贈された緑の軍服のコートが点々と虫に喰われていた。



「私たちはこのまま転げ落ちてゆくだけなのかしら?」

「だってあなたはずっとここにいるだけ」
「あなたは何もしていない」

「悪いのはすべて私?だって何もすることがないじゃない」
「ここには何もないのよ。遠くの街の人たちは、誰も私たちのことを知らないわ」

「あなたの場所には、あなたの場所の美しさがある」
「小さな魚の鱗も白い花びらも、暗い夜星の下で光っている」



「もうすぐお祭りもあるしね、山から春も来るわ」





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「蜜ノ木」
2013年、油彩、キャンバス
45×38cm
個人蔵
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by yasutakeiwana | 2014-01-21 17:08 | 絵画・詩
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