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ポストマンのアトリエで。

5月26日、「郵便夫(ポストマン)と森の星」が終わった。
短い開催期間だったのにも関わらず、2日間で300人のオーディエンスが村はずれの小さなアトリエに詰めかけた。


ちょうど1年前にドイツから帰国して地元でアトリエを探していた僕に、中学の同級生のお父さんが村はずれで廃墟になっているアトリエの存在を教えてくれた。お父さんの同級生で村の郵便配達をしていた河口重雄さんという方が生前に自分で建てたアトリエらしい。


アトリエには「アトリエ河口 絵好住(エコノミークラス)」と書かれていた。
周囲は草に覆われてゴミだらけ。中に入ったとき、埃まみれの絵筆と真っ白のキャンバスが残されていた。それを見て、僕はここで絵が描きたいと思った。家族の方にお願いしてアトリエを貸していただいた。

昨年の夏は、とにかくアトリエの掃除。
村の友人や親戚、隣村の友人まで手伝いに来てくれた。
この頃に、河口さんの遺作を展示した展覧会を企画したいと思うようになった。


今年1月に地元の仲間と「蜜の木」を結成。
第0回となる特別イベントとしてアトリエ河口にスポットを当てた展覧会を開催することになった。
2月に東京でトークショーに呼ばれて、クリエイティブディレクターの後藤繁雄さんにその話をしたら、ゲストで後藤さんが村に来てくれることになった。


後藤さんとの出会いは村の人たちにとって特別なものだったし、お客さんの多くは生前の河口さんと親交のあった地元の人たちだった。今回の展覧会は絵を見る展覧会ではなく、河口さんが建てたアトリエや痕跡が村の人たちの記憶装置として機能したんだなと思うと普段の展覧会にはないものが確かにあった。

涙のある展覧会はそうはない。
「出会い」は人を変え、創造力は共同体そのものも変えて行くはずだ。



「蜜の木」HP http://mitsu-no-ki.digiweb.jp/

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撮影:峰貴大
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by yasutakeiwana | 2013-05-30 20:50
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