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アートアワード再考

今朝、日本から荷物が届いた。
服と本。宮沢賢治、萩原朔太郎、川端康成、大正絵画、あしたのジョー(笑)。。。なんだか実家の部屋に帰った気持ち。


そして、アートアワードトーキョーのカタログも届いた。
僕の作品のテキストは国立国際美術館の植松由佳さんが書いてくれた。(テキストの内容はこちら)この展覧会は僕にとって大きな励みになった展覧会だったんだけど、このときはドイツに出発する2週間前だった。賞をもらったという「結果」しか実感する時間がなくて、気づいたらドイツに来てもうすぐ3ヶ月を迎える。いまこのカタログを読むことはあの展覧会を振り返る時間で、自分がこれから向かう道を知る地図でもある。

「準グランプリ」という栄誉をいただいたのと同時に、最後の最後に映像作品に敗れて金メダルを逃した。後藤繁雄さんが言うようにこれが「いまのアートの状況」というのもわかるけど、あのとき自分にもう少し力があれば、と悔やんだ。「今年はクオリティは高いがダントツのものがない」「絵画はこれから苦しい」という声、文字が僕の前に溢れた。偶然か日本のアートが変わりはじめたのとほぼ同時に僕は日本を離れた(その中で渡独直前のアートアワードでの受賞と京都で結成された若手キュレーターズユニット「0000」との遭遇は象徴的な出来事だと思う)

デュッセルドルフに来て、慣れない言葉、ドイツ絵画のクラス。アトリエでひとりテレピン油にむせかえる毎日。たしかにいまの日本の絵画の状況はよくない。巷に氾濫しているお遊びや中途半端な絵画はどんどんなくなればいいと思う。でも「絵画」のことを馬鹿にする奴は絶対許せない。僕が伊賀の真っ暗な山の中で絵を描いてさがしていたものは「表現の魂」だった。いまはドイツという場所でそれをさがしている。いつかこの気持ちを担いで日本に帰る。そんなことを思った。
 
アートアワードトーキョー丸の内2010 Web Site
by yasutakeiwana | 2010-08-14 03:58
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